「介護口腔ケア推進士」検定試験 一般社団法人 総合健康支援推進協会
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「口腔リハビリで生命力が蘇る」 (文藝春秋2016年5月号より)

文芸春秋(2016年5月号)http://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1850  に、
「口腔リハビリで生命力が蘇る」という記事が掲載されていますのでご紹介します。 この記事は「口腔ケア・口腔リハビリ」で食べることができるようになり、いかにお口の中のケアが大事かということを5つの例で紹介するとともに口腔機能低下が引き起こす問題点、歯科医師と医科の連携の点などを取り上げております。

  • 例1 熊本リハビリテーション病院

 辻友里歯科医は調査により入院患者250名あまりのうち82名が口腔機能障害があり、食べることが出来ないことが判明した。そのうちの33名が「口腔リハビリ」を行うことで再び食べられるようになったケース。このケースの深刻な問題は口腔機能障害のある人が多いというより「重度の障害があるのに、誰一人として問題があるとは思っていなかった」ことです、と。

  • 例2 藤田保健衛生大学

 心臓の大動脈瘤と冠動脈のバイパス手術を受けた患者(73)が「嚥下障害」と診断され「経鼻経管栄養」の処置をされた。その後口腔機能の低下により徐々に話すことも出来なくなった。義歯の調整、口腔と舌のトレーニングで50日後には普通食が食べられるようになった。このケースでは食べるリスクを重視することも必要だが、食べないで放置しておくリスクも考慮しなければならない、と。

  • 例3 脳梗塞の後遺症のある患者(68)

 2年間しゃべることも、食べることも出来ず寝たきりで「経鼻経管栄養」状態の患者が、角町正勝先生による「口腔リハビリ」で2ケ月後に食べることができるようになり、3ケ月後には結婚式でスピーチができるようになったケース。角町先生の「口腔リハビリ」はまず口の中をきれいにケアし、顔の表情筋のマッサージ、舌運動回復のため舌や顎の下の筋肉をマッサージすることを丹念に繰り返した。まさに奇跡の回復です。  角町先生は「口腔リハビリ」の名ずけ親で「口腔専門医」です。

  • 例4 気管切開し余命1ケ月の患者(73)

 患者のご家族が「死ぬ前にもう一度口からものを食べさせてあげたい」との思いから函館の光銭歯科医師による口腔リハビリをうけることになった。歯科医師による口の中の不衛生状態の解消、口のマッサージ、義歯の調整などで口腔機能障害の改善が見られ、今では噛んで食べられるようになり、寝たきりから杖を使って立って歩けるまでに回復したケース。

  • 例5 胃瘻造設の認知症の患者(90)

 誤嚥性肺炎を繰り返してた患者が胃ろうの増設を拒否して攻撃的ですごい形相を浮かべるようになった。ご家族と歯科医師が協力して患者から胃ろうをとる努力をして患者は普通食が摂れるまでに回復した。このとき宇都歯科医師はご家族にこの言葉を投げかけています。「口から食べることによって誤嚥や窒息のリスクがあります。そのリスクを受け入れる覚悟はありますか」と。

 この記事の筆者は「口腔機能を改善すれば食べる・しゃべる・笑う」能力は蘇る可能性は十分あると述べております。また飲み込みの検査をして1%でもリスクがあれば、医科の医師は食べさせたくないと考える。一方、歯科医師は1%でも食べられる可能性があれば、その可能性にかけてみようと考える。医師と歯科医師の考え方の違いにも触れています。

大変に素晴らしい「口腔ケアによる奇跡の回復」の記事だったので紹介しました。この記事は文芸春秋5月号に8ページにわたって掲載されております。短く端折って紹介しました。ぜひご一読をお勧めします。

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