本年4月から介護報酬が改定されましたが、施設の口腔ケアについてもいくつかの点が見直されました。前回に続いて新しい単位数などについて説明します。
「経口維持管理加算」は、介護保険施設に入居している人のなかで摂食・嚥下機能が低下した人をケアすることで、口から食べ続けていくことができるよう支援をするサービスです。
以前、ある老人保健施設の管理栄養士から「Aさんはいつもおかゆなど嚥下しやすいようにしないと食事が摂れないかたなのですが、お祝いで出た好物の握り寿司は誤嚥もせず美味しそうに召し上がっていました。脳との関係でしょうか。好物は誤嚥しないのですね。Aさんができる限りお寿司が食べ続けられるように支援したいです」という話を聞いたことがあります。このように、美味しいものを食べられることは、その人の生きがいにもつながる重要なことなのです。
今回加算要件に、医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、介護支援専門員、介護職員といった様々な職種の人たちが本人の食事の様子を実際に観察(ミールラウンド)して話し合い、どのようにすれば改善できるのかを意見を出し合って考えていく経口維持計画が入りました。
そこでは、
咀嚼・嚥下能力に応じた食形態・水分量の工夫がされているか
認知機能に応じた食事介助の工夫が行われているか。食べ物が認知しやすい工夫があるか。
食べるときの姿勢の工夫(机やいすの高さや硬さ、ベッドで食事している人のベッドの角度、食べるための道具(はしやスプーン、エプロン福祉用具など)
嚥下しやすいような意識化、声がけを行っているか
本人の食欲が増進できるような嗜好、温度等への配慮ができているか
などが検討されます。その上で、本人の食生活へのケアを充実させて、「口から食べる楽しみ」が得られるようにしていきます。
なお、経口維持加算(1)は、栄養マネジメント加算(※)を算定できていない施設では算定できません。
栄養マネジメント:管理栄養士が栄養アセスメントに応じた栄養補給、栄養食事相談、関連職種との協働などで栄養管理を行い、栄養ケア計画を作成する。これらの実施により算定できる。14単位/日
これは介護保険施設が歯科医療機関(病院の歯科や歯科医院など)と連携している場合で、上記の観察と会議に医師、歯科医師、歯科衛生士または言語聴覚士が加わった場合に算定できます。経口維持加算(1)を算定している施設でないと加算できず、経口維持加算(1)に加えて算定できます。
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