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誤嚥性肺炎予防をどうすればできるのか

東京オーラルマネジメント研究会が学術研修会を開催 (1)

 東京オーラルマネジメント研究会(道脇幸博会長)は、平成25年に設立されました。「口腔ケアからオーラルマネジメントへ」を合言葉に、研究集会と学術集会を開催しています。本年215日、第3回学術集会が開催されました。

 学術集会では、東邦大学医学部リハビリテーション科教授の海老原覚先生が、「誤嚥性肺炎予防のための口腔機能管理を再考する」と題し、誤嚥性肺炎をどうすれば予防できるのかを詳しく話しました。わが国が超高齢社会に突入しています。高齢者が増加するなかで、海老原先生は高齢者が加齢に伴って「前虚弱」→「虚弱」→「身体障害」と、身体が弱っていくプロセスを説明し、「虚弱」の人が増えている現状に触れました。その上で、これまでリハビリテーション医学は「身体障害」の段階で初めて介入してきたが、今後は予防的な見地から、それより前の「虚弱」の段階から介入が重要であることを指摘しました。

 「認知症の人の80%の人に嚥下障害が起こる」という論文が、雑誌「New England Journal of Medicine 」に掲載されました。肺炎になって死亡する人は特に高齢者に多く、現在死因の第3位ですが、その肺炎は誤嚥性肺炎であることが多いとのことです。海老原先生はこの人たちを嚥下障害のある人と考え、入院した患者さんの痰を培養した結果、最も多い菌は通常口腔内にいる常在細菌であることが分かりました。これまで、不潔な口腔内で増殖する細菌が原因といわれていましたが、健常な人がもつ常在細菌も原因だというのです。

そもそも感染症には2種類あって、インフルエンザのように外部から感染する外因性感染症と、体内にある細菌が増殖して起こる内因性感染症があります。誤嚥性肺炎は上記のことから、多くは内因性感染症であることが分かりました。また、肺炎はもともと急性疾患ですが、誤嚥性肺炎の多くは慢性炎症疾患と言ってよく、「そういえばしばしば熱を出していた」という介護者からの話を聞くことがあるようです。

 それでは、誤嚥性肺炎をどのように予防していくのでしょうか。誤嚥性肺炎は嚥下障害のある人に多いことは前述しましたが、その嚥下障害を引き起こす原因には、「加齢で喉頭の位置が下がり誤嚥しやすくなる」、あるいは「歯の欠損や咀嚼機能の低下」など歯科領域の原因もありますが、海老原先生が老年医学の視点から注目したのは、咽頭の知覚感が低下するために嚥下反射も低下するということでした。さらに、高齢者は嚥下反射だけでなく咳反射も低下していくことが分かっています。咳反射が低下していないうちは、患者さんは誤嚥性肺炎にはならない人も多いということも判ってきました。

 咳反射があると、異物が気管に入ってきた場合にはむせて異物の侵入を防ごうとします。この咳の刺激は大脳皮質から起こります。しかし、脳の障害や老化によって、咳嗽反射(がいそうはんしゃ=気道の異物や分泌物を除去するための一連の反射運動)ができなくなることがあります。すると、「脳機能などで障害」→「嚥下機能障害」→「咳嗽機能障害」→「無咳嗽」→「誤嚥性肺炎が起こる」というメカニズムで、誤嚥性肺炎を起こしやすい状態になるということです。

(この項目続く)