「介護口腔ケア推進士」認定試験 一般社団法人 総合健康支援推進協会
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施設の口腔ケアなどを介護報酬で見直し

今回の介護報酬改定では、中重度の要介護者や認知症高齢者へのケアを強化する観点から、「口腔・栄養管理に係る取組み」を評価し充実させています。施設の入所者が、認知機能が低下して食事がうまく摂取できなくなったり、摂食・嚥下機能の低下等により食事の経口摂取が困難になったりしても、自分の口から食べる楽しみを得られるように多職種協働によって支援していこうというものです。これまでの、「自分の口で、噛んで、 味わって、飲み込むこと」ということが目標とされてきましたが、それをさらに一歩進めて「口から食べる楽しみ」を求めてケアを充実させていきたい考えです。

具体的には、上記のようなニーズをもった高齢者がいたら、医師、歯科医師、看護師、管理栄養士、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、介護支援専門員、介護職員といった、本人にかかわる様々な職種の人たちが本人の食事の様子を実際に観察し、話し合い、どのようにすれば改善できるのかを意見を出し合って考えていくことです。

そこでは、

    咀嚼・嚥下能力に応じた食形態・水分量の工夫がされているか

     認知機能に応じた食事介助の工夫が行われているか。食べ物が認知しやすい工夫があるか。

    食べるときの姿勢の工夫(机やいすの高さや硬さ、ベッドで食事している人のベッドの角度、食べるための道具(はしやスプーン、エプロン福祉用具など)

    嚥下しやすいような意識化、声がけを行っているか

    本人の食欲が増進できるような嗜好、温度等への配慮ができているか

などが検討されます。その上で、本人の食生活へのケアを充実させて、「口から食べる楽しみ」が得られるようにしていきます。

 こうしたことから、介護保険施設等入所者の口腔・栄養管理(地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護を含む)の加算については、以下のようになりました。

 

     経口維持加算については、上記の内容のように摂食・嚥下障害を有する入所者や食事摂取に関する認知機能の低下が著しい入所者の経口維持支援を充実させる観点から、これまでのスクリーニング手法別の評価区分を廃止し、多職種による食事の観察(ミールラウンド)や会議等の取組のプロセス及び咀嚼能力等の口腔機能を含む摂食・嚥下機能を踏まえた経口維持支援を充実させる。

以上の観点から、算定要件(※1参照)を満たした施設では、「算定維持加算 Ⅰ」については1月につき400単位算定。また、「経口維持加算 Ⅱ」については1月につき100単位加算。

算定要件等

経口維持加算()については、現に経口により食事を摂取する者であって、摂食機 能障害や誤嚥を有する入所者に対して、医師または歯科医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護師、介護支援専門員その他の職種の者が共同して、食事の 観察及び会議等を行い、入所者ごとに経口維持計画を作成している場合であって、医 師または歯科医師の指示(歯科医師が指示を行う場合にあっては、当該指示を受ける管理栄養士等が医師の指導を受けている場合に限る)に基づき管理栄養士等が栄養管理 を行った場合、1月につき算定。

経口維持加算()については、当該施設が協力歯科医療機関を定めている場合であり、経口維持加算()において行う食事の観察及び会議等に、医師(人員基準に規定する医師を除く)、歯科医師、歯科衛生士または言語聴覚士が加わった場合、経口維持加算()に加えて、1月につき算定。

経口維持加算()は、栄養マネジメント加算を算定していない場合は、算定しない。 経口維持加算()は、経口維持加算()を算定していない場合は、算定しない。

 

 

② 経口移行加算については、経管栄養により食事を摂取している入所者の摂食・嚥下機能を踏まえた経口移行支援を充実させるため、算定要件を(※2参照)変更する。

経口移行加算(1日につき) 28単位 (1日につき) 28単位

※2 算定要件等(変更点のみ)

経口移行計画に従い、医師の指示を受けた管理栄養士または栄養士による栄養管理及び言語聴覚士または看護職員による支援が行われた場合、1日につき算定。

栄養マネジメント加算を算定していない場合は算定しない

 

加算内容に応じた名称の変更

「口腔機能維持管理体制加算」、「口腔機能維持管理加算」については、入所者の適切な 口腔衛生管理の普及を推進するため、「口腔衛生管理体制加算」、「口腔衛生管理加算」に 名称を変更する。

 

④ 療養食加算の見直し

療養食加算(「療養食加算」は、主治医が出す「食事せん」に基づき、糖尿病食、腎臓病食、肝臓病食といった疾病を治療する上で必要な療養食を提供する場合に加算)については、入所者の摂食・嚥下機能面の取組を充実させる観点から、これまでは認めなかった「経口移行加算」または「経口維持加算」との併算定を可能にする(※3参照)とともに、評価を見直す。

 療養食加算(1日につき) 23単位 (1日につき) 18単位

※3 算定要件等(変更点のみ)

経口移行加算または経口維持加算との併算定が可能

以上、厚生労働省 26日介護給付費分科会資料より

 

 厚生労働省は、「療養食を提供している人」の6割は、「摂食・嚥下機能が低下している人」である実際の状況を考慮に入れ、経口移行加算、経口維持加算との併用した加算を可能にした評価の見直しを決めました。平成25年の厚生労働省データでは、老人保健施設と介護療養型医療施設では約30%の人が、特別養護老人ホームと地域密着型介護福祉施設では約10%の人が、療養食加算の対象です。こうした人への「口腔ケアや摂食・嚥下訓練を可能にして、口から食べることを持続的に可能にしていこう」というのが今回の見直しのポイントと言えます。