「介護口腔ケア推進士」認定試験 一般社団法人 総合健康支援推進協会
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介護報酬で口腔ケア・経口摂食を評価(2)

平成274月には介護報酬が改定されますが、その中で「経口維持加算」を見直そうという案が出されています。社会保障審議会介護給付費分科会では、審議を重ねていますが、来年の1月には新しい「単位数(単位については、1を参照)」が出される予定です。

 同分科会で「論点1」としてあげられたのが、「口から食べる楽しみを支援するための多職種による取り組みのプロセスを評価してはどうか」(下線は筆者)という内容です。施設入居しているお年寄りに「楽しみは何ですか?」と尋ねると、多くの人が「食事です」と答えます。QOLの高い生活を送る上で、「口から食べる楽しみ」が重要であることに異論はないでしょう。

介護保険施設における経口摂取維持の取組の検討に関与する職種,看護師,管理栄養士,介護職員,歯科医師,歯科衛生士

出所:2014116日「第113回社会保障審議会介護給付費分科会」資料より

 現在、介護報酬で施設における経口維持加算は、摂食・嚥下機能に障害があり、口から食べて飲み込むことができにくくなった人に対して、管理栄養士・栄養士が特別な栄養管理(食べられるように支援すること)を行った場合に認められます。例えば、咀嚼能力が落ちている人にきざみ食を提供する施設は少なくありませんが、きざみ食がかえって「咳き込む」、「誤嚥する」といったことを引き起こす原因になる場合があります。こうしたことを防ぐには、食形態を考え、「本人が噛むときに障害があるのか」、あるいは「咀嚼した後の食塊形成や飲み込みに障害があるのか」などのことを確認する必要があり、これが経口維持につながります。加算するためには、摂食機能障害がある人に、造影撮影または内視鏡検査(加算1)、水飲みテスト、頸部聴診法など(加算2)で誤嚥があるかを確認しなければなりません。ただ、施設でこうした評価が簡単にできないという現実もあります。管理栄養士・栄養士がこうした確認の上で、支援を行い加算が可能になります。

 いっぽう、施設で実際に経口摂取の維持に関わる職種は、看護師、管理栄養士、介護職員といった人たちです(図)。さらに、咀嚼能力など口腔機能を専門的に検討する歯科医師、歯科衛生士が関わっていない施設もあり、今の算出方法は課題を残しています。現場では、歯科医師、栄養士、介護職員、言語聴覚士、ケアマネジャーといった多職種が、本人の食事している様子を観察し、その人の摂食・嚥下について意見を出し合うことで、本人の体重が増え活動能力が上がった例もあります。

 こうしたことから今の加算を変更し、上記のスクリーニング手法別の評価区分をやめて、多職種による取り組みのプロセスを評価し加算するという案を厚生労働省が出しています。また、栄養管理に加えて、食事観察やケアカンファレンスなどで、咀嚼能力などの口腔機能をみた経口維持管理を評価する案が出ています。併せて入所者の口腔衛生を、今まで以上に維持することを重要視していくことで、誤嚥性肺炎等の疾患予防にも着目しています。

 そのために、現行の「口腔機能維持加算」「口腔機能維持管理体制加算」の名称を、「口腔衛生管理加算」「口腔衛生管理体制加算」などの名称にしてはどうかといった案が出されています。

 これについて、委員からは「言語聴覚士の役割を明記すべきだ」という意見や、「栄養士と歯科医師、特別養護老人ホームの配置医師と歯科医師・歯科衛生士との連携をどう図るか」、また「専門家が行う口腔ケアと、それ以外の職種がやる口腔ケアは明確に区別すべきだ」といった質疑や意見が出されました。次回は、「論点2」についてです。