平成27年4月には、介護報酬が改定されます。介護報酬とは、在宅や施設の介護保険サービスを行った事業者や施設に支払われる金額(月額)のことです。ちなみに1単位が10円です。たとえば「680単位」でしたら、それは事業者に支払われる金額が「6,800円」であることを示します。
次の改定の報酬について審議されている第113回社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長:田中滋慶應義塾大学名誉教授)で、「施設系サービスの口腔・栄養に関する報酬・基準について(案)」が議案になり、討議されました。これまで同分科会では、口腔ケアや摂食・嚥下障害のケアについて話し合われる機会はほとんどありませんでした。しかし、今後施設で暮らす人たちがより重症化することが予測され、口腔ケアや経口摂食のケアは介護施設の中では必然性が高まっていくことが予想されます。
次の改定では、介護保険三施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設)への入居者について、施設の特色と目的に合わせた評価がより明確にされることになっていく予定です。
特別養護老人ホームは、要介護3よりも重症であることが入居要件の一つになります。また、老人保健施設はリハビリテーションを行い、在宅生活が再び可能になり帰宅する人の率が高くなると加算が付くなど、今後とも在宅復帰が評価されていくことになります。そのためには、「食」に対する支援への注目度がさらに上がっていくものと思われます。一方、介護療養型医療施設は、医療ニーズが高い人が入居しており、経口摂食が困難な人も少なくありません。さらに、三施設共にターミナルまで施設でケアを行い、最期までケア(ターミナルケア)をしていくことが求められています。
こうした中で、口腔ケア・経口摂食を評価していくことは、給付費分科会の総論では特に議論になっていませんでしたし、団体からの意見などでも出ておりませんでしたが、厚生労働省としての問題意識から提案した内容ということです。