「介護口腔ケア推進士」認定試験 一般社団法人 総合健康支援推進協会
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まず、認知症を良く知り、口腔ケアの実践 (市民公開フォーラム「食べることは生きること」より)

 9月に開催された市民公開フォーラム「食べることは生きること」(主催:NPO法人ハート・リング運動)では、一般の人に向け、「認知症と歯の関係」について、専門家が講演しました。この日のフォーラムでは、初めに基調講演を大久保満男日本歯科医師会長が行った後、3名の先生がそれぞれの専門分野をわかりやすく話しました。

一人目は、認知症の専門医である小阪憲司先生(横浜市立大学名誉教授)が登壇。認知症の原因となる病気の種類と特徴についてわかりやすく説明しました。認知症の原因疾患で最も多いのはアルツハイマー病(50%)ですが、そのほかに脳血管性認知症や前頭側頭葉変性症などがあります。最近注目されている認知症の原因の病気の一つに、「幻視」や「パーキンソン症状」などを特徴とするレビー小体型認知症があります。小阪先生は、このレビー小体型認知症の研究で第一人者ですが、先生の研究によると、認知症の人の割合の中でレビー小体型認知症はアルツハイマー病に次いで多く、全体の20%の人がこの病気だということです。

次に登壇した小野塚實先生(日本体育大教授)は、「糖尿病になると細胞に糖が取り入れられなくなり、細胞が死んでしまう。こうした影響が脳にも及んでくる。糖尿病の合併症として認知症を考えたい」と糖尿病と認知症の深い関係性を指摘しました。そして、リハビリテーションの視点から「噛む習慣は重要で、噛む力で血行を良くし、脳の細胞減少を防ぐことにもつながる」と、摂食・嚥下の機能が認知症予防にもつながることを示唆しました。


 三人目の登壇者は、実際に多くの認知症の人を診察する菊谷武先生(日本歯科大学教授・口腔リハビリテーション多摩クリニック院長)です。菊谷先生のところには、「食事が出来なくなった」、「何か食べるとすごくむせる」といった家族からの相談が数多く寄せられます。「本人のために何とか食べさせてあげたい」という家族の想いに対し、「口腔内の状態は一人ひとり異なります。また、認知症の進行によって治療やケアの方法も変わっていきます」と、先生は説明します。「初期であれば簡単な指示で通常の歯科治療を行えるが、中期になると長時間の治療は困難で細かい指示はできなくなる。さらに後期になると治療は困難で簡単な口腔ケアを行うことになる」。後期になると、咀嚼機能も低下し、嚥下機能も低下していくそうです。菊谷先生は、こうした進行に合わせたケアが重要と述べました。

 会場にはたくさんの介護をする家族やケア職の人たちが集まりましたが、みなさん認知症の種類や進行度合によって口腔ケアの方法も異なることを改めて学んでいました。