2014年6月に医療介護総合推進法が成立しました。その中で特別養護老人ホーム(以下、特養)に入居する人を、要介護3以上の人に限定することになりました。来年4月介護保険制度で改定される予定です。現在も重度者を優先する自治体はありますが、入居待機者が多い中での制度改定は、議論を呼んでいます。
2014年7月24日に開催された第104回社会保障審議会介護給付費分科会では、特養の今後のあり方について、各委員から意見が出されました。
特養では入居者の要介護度が重度化してきており、入居者の医療へのニーズはますます高まっています。特養には医師(配置医師)の配置が義務付けられていますが、その役割は次第に大きなものになってきています。配置医師の業務は、入居者の健康管理と療養上の指導ですが、入居者が重度化するにつれて、肺炎や帯状疱疹等疾病の治療や点滴の管理など、個別処置の必要な医療内容に変化してきているからです。
厚生労働省は、在宅療養者への医療の充実を求めていますが、特養についても「病院での看取りから施設での看取りへ」という流れをつくり、入居者を施設内で最期まで診られるように医療体制を充実させていきたい考えです。これを実現するためには、配置医師の役割の再検討と、専門医をはじめとする地域の医療機関の医師が特養の入居者を診ていくための特養との密接な連携関係が求められるでしょう。
いっぽう、特養の入居者が重度の要介護者ばかりになっていくことについて、委員からは疑問だという意見も出されました。審議は来年初めまで続けられ、4月から新しい枠組みがスタートする予定です。
このほかに歯科医療的な視点として、佐藤徹委員(日本歯科医師会常務理事)からは「入居者の口腔ケアについては看護師が行っている施設もあるが、他職種連携という部分からも歯科衛生士が行う方がよいのではないか」といった意見も出されました。
社会保障審議会介護給付費分科会の委員
(奥の右から6人目 分科会長 田中滋慶応義塾大学名誉教授)。
手前は厚生労働省の各担当者